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2025.06.20

AI View Group、自律ドッキングドローンでイタリアの高速道路監視を革新

AI View Groupは運輸分野で10年以上の実績を持ち、イタリアにおけるドローンサービス市場のリーダーとしての地位を確立しています。30名を超える正社員と広範な専門家ネットワークを擁し、最近ではHighten Groupの欧州地域オフィスにも加わりました。認定操縦士、技術開発、人工知能(AI)に関する専門知識を備えた同社は、交通監視だけで3,000件を超える遠隔ドローンミッションを成功させるなど、輝かしい実績を誇ります。自律運用のデジタルトランスフォーメーション推進に尽力し、イタリアの大手インフラ企業から信頼されるパートナーとなっています。

NestGen’25のセッションでは、安全性と効率性を融合した無人技術運用を専門とするAI View GroupのCEO、ニコラ・マリエッティ氏にお話を伺いました。2012年に設立された同社は、航空インテリジェンスのパイオニアとして、企業クライアントの運用・保守プロセスにおけるドローン導入を支援しています。今回は、自律型ドローンによる高速道路点検の革新について語っていただきました。

 

課題

従来の高速道路監視では、有人パトロール車が現地を走行し、肉眼による確認や連絡によって情報を収集していました。しかしこの手法には、以下のような課題が存在します:

・視野の限定性:車両からの確認では見落としが発生しやすい
・対応の遅延:リアルタイムでの異常検知や通報が難しい
・人的リスク:作業員が危険な場所に立ち入る必要がある
・コストと効率の問題:広大な道路網のカバーに時間と費用がかかる

解決方法

AI View Groupは、これらの課題に対応するため、**自律型ドローンシステム「ドローン・イン・ア・ボックス(Drone-in-a-Box)」**を導入しました。これは、AIによる映像解析技術と組み合わせることで、インフラ監視に革新をもたらすソリューションです。

導入されたシステムには以下の特徴があります:

・定期的な自律飛行による継続監視
・リアルタイムでのAI解析による異常検出
・遠隔地からの操作・管理に対応した完全な無人運用
・安全性と省力化の両立

仕組み

このシステムは、高速道路の戦略的な地点に設置された「ドローン・イン・ア・ボックス」から構成されます。シェルター内に格納されたドローンは、設定されたスケジュールまたはイベントトリガーに従って自動離陸。上空から道路の映像を取得し、AIがリアルタイムで映像を解析します。

異常(例えば、破損したガードレールや路上の障害物など)を検知すると、AIが映像とメタデータを即座に関係者に通知。ドローンはミッション完了後、シェルターに自律帰還し、バッテリー充電やデータアップロードを自動で行います。

実施内容

AI Viewグループの導入戦略は、イタリア最大の高速道路運営会社であるAutostrade per l’Italiaとの「FALCO」と呼ばれるパイロットプロジェクトから始まりました。最初の導入では、重要な料金所とサービスエリアに5つのドッキングステーションを設置し、高速道路の状況を監視するドローンを通勤者が確認できるようにしました。最初の運営会社で成功を収めた後、AI Viewは2つのドッキングステーションを追加し、イタリアの2番目の大手高速道路会社にプログラムを拡大しました。

実装プロセスは体系的なアプローチに従って行われました。‍

1、過去の事故データとカバレッジ要件に基づいてドッキングステーションの最適な配置を決定するためのサイト分析
2、各拠点の特定の監視ニーズに合わせたハードウェアの選択と導入
3、ReADIコントロールセンターと既存の交通管理システムの統合
4、位置情報に基づくデータ収集を利用したAIモジュールの開発とトレーニング
5、規制当局の承認を取得し、AI View は現場監視員なしで遠隔ドローン操作を行うための LUC (軽量 UAS オペレーター証明書) を取得した最初の企業の 1 つになりました。

高速道路インフラは、欧州の重要インフラ保護に関するNIS2(ネットワークおよび情報システム)規制の対象となるため、サイバーセキュリティの懸念に対処することが導入上の大きな課題でした。AI View Groupは、システムの信頼性を維持しながらコンプライアンスを確保するための包括的なセキュリティプロトコルを開発しました。

影響

ReADIシステムは、複数の運用領域にわたって測定可能なメリットをもたらしました。‍

 

対応能力の強化:

ドローンネットワークにより、事故の検知と対応時間が大幅に短縮されました。高速道路管理者は、事故状況、車両の位置、最適なアクセスルートに関する正確な情報に基づき、緊急サービスを展開できるようになりました。緊急時には、ドローンが30分間の継続的な空中監視を提供し、管理チームはこれまでにない状況把握が可能になります。

交通管理の改善:

リアルタイムの航空監視により、高速道路運営者は交通渋滞のパターンを検知し、事前に緩和策を実施できます。システムの分析機能は、交通構成データ(乗用車とトラックの比率)と交通流指標を提供し、特に道路工事が行われている地域において、運営者が交通管理の意思決定を最適化するのに役立ちます。

インフラの健全性:

定期的なドローン点検により、破損したガードレール、路面のひび割れ、安全上の問題など、これまで発見されていなかったインフラ上の問題が数多く特定されています。これらの問題を早期に発見することで、高速道路運営者は、問題が高額な緊急修理や安全上の事故に発展する前に、予防的なメンテナンスを計画することができます。

運用の統合:

おそらく最も重要なのは、テクノロジーが時折のサービスとして機能するのではなく、日常業務に完全に統合されていることです。

 

-ニコラ・マリエッティ

「単なるドローンを提供するのではなく、これがこのプロジェクトの真髄であり、最も重要な部分です。私たちの目標は、お客様の業務に無人技術を導入してもらうことであり、まさにこのお客様とまさにそれを実現したのです。」

このソリューションの価値は、高速道路運営者の交通管制センターでの継続的な使用を通じて明確に実証されており、現在では補助的な技術ではなく、不可欠な運用ツールとして機能しています。

今後の展開

AI View Groupは、来年中にイタリアの高速道路に約50基のドックドローンステーションを設置し、ネットワークのカバレッジと機能を大幅に拡大する予定です。また、AIモジュールの強化により、インフラの問題をさらに検知し、より高度な交通分析を提供します。今後の開発では、現場監視員なしでの運用を可能にするLUC認証の取得という規制上のマイルストーンに基づき、運用の自律性向上に注力します。

同社は、これらの高速道路での導入が重要インフラ環境における完全自律型ドローン運用の基盤を築くものと考えており、導入の成功ごとに技術や規制の進展に貢献する貴重なデータが蓄積されると見ています。

結論

AI View GroupによるReADIシステムの導入は、自律型ドローン技術が重要なインフラ監視の課題を解決し、具体的な運用メリットを実現することを示しています。ドローンの機能を既存の交通管理ワークフローに直接組み込むことで、同社はイタリアの高速道路運営者の安全性向上、対応時間の短縮、そしてインフラ保守の効率化を支援しました。

FAQ

Q1. 高速道路監視システムにおけるドローンの最大運用範囲はどのくらいですか?

ドローンはドッキングステーションから各方向に最大3キロメートルまで飛行でき、設置場所ごとに約6キロメートルの高速道路をカバーします。最適な位置にドローンを配置することで、高い視点から10~12キロメートルの道路を視覚的に監視できます。

Q2. AI View Groupは、自律型ドローン運用に関する規制要件にどのように対応していますか?

AI View Groupは、現場監視員を介さない遠隔ドローン運用のためのイタリア初の軽量無人航空機(LUC)運用者認定を取得しました。この認定には、包括的な安全プロトコル、信頼性の高い通信システム、そして重要インフラ向けNIS2規制に準拠したサイバーセキュリティ対策の実証が求められました。

Q3. 高速道路ドローンシステムは、具体的にどのようなメンテナンス上の課題に直面していますか?

ドックドローンシステムは、ハードウェアの整合性、センサーのキャリブレーション、ソフトウェアの更新を確保するために、毎月のメンテナンス訪問が必要です。AI View Groupは、規制遵守と運用の信頼性を確保しながら、ダウンタイムを最小限に抑える予防保守スケジュールを開発しました。

Q4. ドローンで撮影したデータは、既存の高速道路管理システムとどのように統合されますか?

ReADIシステムは高速道路管理者の交通管制室と直接連携し、ドローンによる映像と従来のカメラ映像を並べて表示します。AI分析データは直感的なダッシュボードに表示され、交通異常、インフラの損傷、または注意が必要な安全上の危険を管理者に警告します。

 

 

この記事を書いた人

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奥村英樹

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大手電機・エネルギー企業での技術営業を経て、ドローン業界へ。営業・開発PM・操縦士など幅広い実務経験を活かし、2022年にSORABOTを設立。ドローンの社内導入支援や運用課題の解決を行う「ドローンアドバイザー」として活動中。ドローンをもっと簡単・便利に使える社会を目指しています。

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