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2026.03.03

【イベントレポート】 なぜVTOLなのか ~その必要性と数十㎞を 飛ばすために、現場で起きたこと〜

今回は、2/24に開催した対談イベントの開催レポートをお送りします。

2026年2月24日、ドローンを仕事で活用するコミュニティ「ソラハブ」主催の対談イベントが開催されました。今回のゲストは、国産VTOL(垂直離着陸型固定翼ドローン)のパイオニア企業である エアロセンス株式会社 開発統括・鈴木様。

テーマは、「なぜVTOLなのか ― その必要性と、数十kmを飛ばすために現場で起きたこと」マルチコプター全盛の時代に、なぜ“固定翼×垂直離着陸”なのか。

そして、目視外・長距離運用という高難度領域で、どのような技術と思想が求められるのか。開発責任者ならではの仕事のリアルを語っていただきました。

 

1. ソニー発ベンチャーが挑んだ「役に立つロボット」

エアロセンスは、ソニー研究所発のスピンアウト企業として誕生しました。

「空飛ぶロボットで社会の役に立てないか」カメラ開発に長年携わってきた鈴木氏が、新規事業として選んだのがドローン。
しかし当初、ソニー本体でのドローンの事業化は難しく、外部へスピンアウトする形でスタートしました。

現在は:

  • マルチコプター

  • VTOL機

  • 優先給電ドローン

  • クラウドシステム

  • 測量マーカー技術

までワンストップで展開。「ただ飛ばす」のではなく、“現場を楽にするためのシステム全体を設計する”という思想が一貫しています。

2. なぜVTOLなのか?

VTOLは、垂直離着陸後に固定翼へ切り替わり、数十km規模を飛行できるドローンです。

活用現場は主に:

  • 河川・海岸線の点検

  • 鉄道インフラ巡視

  • 災害時の広域確認

「10秒で見えなくなる」目視外前提の運用だからこそ、広域インフラ点検に真価を発揮します。

3. 数十kmを飛ばすために必要なこと

長距離飛行には単なる機体性能以上の準備が求められます。

  • LTE通信設計

  • 高高度飛行申請

  • 事前リスク評価

  • 自動帰還アルゴリズム

制度整備前から挑戦を続け、VTOL型式認証取得まで辿り着いた背景には、「技術」と「覚悟」の両立がありました。

4. VTOLが目指す未来

目指すのは、

「人が現場に行かなくてよい世界」

少子高齢化が進む中、広域インフラ維持や災害対応において、長距離無人飛行は重要な選択肢になります。

VTOLは“未来の構想”ではなく、すでに社会インフラを支える仕事の現場では実装が始まっている技術であることを強く感じる対談でした。

5. Q&A セッション(抜粋)

  • Q1:VTOLはどんな現場に最も向いているのか?
    A:やはり「人がいない」「長い」「広い」場所。河川、海岸線、鉄道上空などが代表例。目視内で完結するならマルチコプターで十分だが、数十km単位の巡視ではVTOLの優位性が際立つ。

  • Q2:目視外で飛ばす不安はないのか?
    A:「祈るしかない」と率直な本音も。ただし、その前段階で徹底的に準備を行う。通信設計、リスク想定、フェイルセーフ設計を詰めた上で送り出す。子どもを学校に送り出すような感覚だという言葉が印象的だった。

  • Q3:VTOLの運用で最も難しい点は?
    A:固定翼ゆえの制約。急停止や小回りが難しいため、ルート設計が極めて重要。山間部では安全高度の確保や旋回上昇など、事前設計が鍵になる。

編集後記

今回の対談を通じて感じたのは、VTOLを使う仕事は“派手な最新技術”というよりも、“静かに社会を支える技術”であるということでした。

マルチコプターが普及し、「誰でも飛ばせる」時代になった今、あえて“見えなくなる距離”に挑む。その背景には、日本の広域インフラをどう維持するかという現実的な課題があります。

数十kmを飛ばすということは、単に距離の問題ではなく、「制度」「安全」「責任」と向き合うことでもある。

開発の裏側にある地道な積み重ねと覚悟を知ることで、VTOLの価値がより立体的に見えてきました。

ドローンが空撮の道具から社会インフラへと進化している――
その転換点を象徴するようなセッションでした。

 

今後のソラハブ対談イベントの予定
3月23日(月) 保険代理店  エイ・シー・エフの代表  東中 様

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奥村英樹

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大手電機・エネルギー企業での技術営業を経て、ドローン業界へ。営業・開発PM・操縦士など幅広い実務経験を活かし、2022年にSORABOTを設立。ドローンの社内導入支援や運用課題の解決を行う「ドローンアドバイザー」として活動中。ドローンをもっと簡単・便利に使える社会を目指しています。

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