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2024.02.05

荒川下流河川事務所の実施する「河川上空を活用したドローン利用の更なる活性化に向けた実証実験」にて、2機同時運航を実施

ドローンポートに待機させた2機のドローンを、離れた場所にいる1人の運航者が飛行させる実験が1月18日、東京都北区の荒川下流にある岩淵水門の周辺で行われた。国土交通省関東地⽅整備局荒川下流河川事務所が、河川巡視にドローン活⽤する有効性を確認する目的で行ったもので、合同会社ソラボット(横浜市)がドローンポート「DroneNest」の運用を、株式会社ロジクトロン(東京)がドローン運航を担った。

 

■DroneNestについて

DroneNestは国土交通省より夜間における補助者を配置しない目視外飛行の承認を受けた実績のある、全自動で自動充電・遠隔操縦・自動着陸が可能なドローン充電ステーション(基地)です。海外でも多くの実績があり、業界を問わず、設備点検、巡回監視、警備、防災、測量、工事進捗確認など、あらゆる用途に活用が可能です。

DJI製ドローンへの対応を中心としつつ、Ardupilot、PX4等複数のプラットフォームに対応し、また、国産ドローンなどへの適用も可能な製品です。また、当社より提供している産業用ドローン遠隔操縦プラットフォームFlytBaseは、DJI Dockにも対応完了しています。汎用的な製品の活用により価格を抑えたサービス提供を目指します。

また、2022年12月に施行された改正航空法において、カテゴリーⅡの飛行許可承認要件のうち、立入管理区域に関する定義が明確化されました。これにより操縦者が不要、かつ遠隔地からドローンの操作が可能なシステムの活用領域がさらに広がると考えています。
https://www.sorabot.com/dronenest

 

■DroneNestで解決しうる課題

(1)遠隔地からの操縦による、操縦者の移動/配備の縮減
インターネット経由での遠隔地からの操縦により、操縦者が実際の現場にてドローン飛行をする必要がなくなります。遠隔地からのリモート環境でのドローン運用により、現場までの移動工数の削減や各拠点への操縦者の配備が不要となり、1名のオペレーターが日本全国のドローンを飛行でき、より効率的にドローンの運用が可能となります。

(2)自動充電による、充電/機体準備が不要
DroneNestに着陸したドローンは、飛行終了後自動的に充電が開始されます。充電完了後も、DroneNest内で保管されており、機体の準備も不要です。バッテリー充電や事前の準備が不要となり、ドローン運用に付帯する作業を削減できます。

(3)各拠点での操縦者育成業務の集約化
ドローンの運用を検討する際に、拠点が複数ある事業者においては、各拠点にて操縦者の育成が必要となります。DroneNestであれば遠隔地からの操縦が可能となるため、本社などの主要拠点にオペレーターを配置すれば、日本全国のドローンの運用ができ、オペレーター育成を1つの拠点に集約することが可能です。

 

 

■DroneNestの特徴

(1)DJI製の機体に対応
DroeNestは、DJI MAVIC2 Pro / MAVIC2 Zoom / MAVIC2 Enterpriseシリーズをはじめとする、すでにお持ちの機体を利用することが可能です。また、現在、MAVIC3 Enterpriseシリーズへの対応を進めているほか、大型の充電ポート(D135)を用いることで、MATRICE300RTKの活用も可能です。今後も、DJIの新機種が発表されるごとに、新機種への対応が計画されています。

(2)世界各国での豊富な実績
DroneNestは海外で豊富な実績を持つ製品で、ベルギーでは警察や消防の緊急駆け付け業務をサポートする用途に70台が導入され(https://youtu.be/E4db9mhF-60)、アルゼンチンでは火力発電所の設備の定期巡視や敷地境界の警備用途(https://www.flytbase.com/blog/thermal-power-plant-inspection)で活用されています。そして、すでに運用実績があるからこそ、より使いやすくシステムとなるよう常に改善がなされています。

(3)遠隔地からの運用を想定した、ストリーミング及び画像アップロード機能
遠隔地からの運用が想定されたシステムのため、飛行中のドローンからの視点を他のオペレータや現場の作業者へもストリーム配信が可能です。同じ映像を見ながら、現況確認や作業計画を立てることもできます。また、撮影した画像・動画は、飛行終了後クラウドストレージへのアップロードを行うことができます。現場での人の介在をせず、データの取得も可能です。

 

「全国のドローンの一括管理態勢を」

実験では荒川下流河川事務所3階の災害対策室にドローンの運航管理拠点を構え、河川事務所の屋上と、河川事務所から約400m離れた荒川河川敷の「荒川岩淵関緑地バーベキュー場」にそれぞれ、ドローンを待機させた。バーベキュー場にはソラボットが展開する「DroneNest」を置き、ドローンはその中に格納した。DJIのMAVICシリーズを使った。

ドローンには、河川事務所に構えた運航管理拠点から飛行指示を出した。河川事務所屋上の機体は、飛行指示を出すと飛行を始めた。運航管理拠点の大型ディスプレイの地図に、ドローンの現在地が示され、ドローンの機体のカメラがとらえた映像が映し出された。河川事務所から1.3㎞下流の芝川水門のあたりまで、荒川にそうように迂回しながら飛行し、巡回して河川事務所屋上に帰還した。DroneNestで待機していたドローンも本来は飛行させる計画だったが、DroneNestのフードは開いたものの、待機しているドローンにDroneNestから飛行許可が出ず、飛行をしなかった。この間、ディスプレイ上には2機の位置が表示され、運航管理拠点から2機が管理できる状況は確認できた。

一方、運航管理者が機体に指示を出すためのPCを持って、河川事務所からDroneNestの近くに移動して再度、飛行指示を出すと今度はスムーズに進行。DroneNestのフードが半回転して開き、運航管理者が画面でチェックボックスを確認すると、DroneNestはドローンに離陸許可を出し、ドローンは無事、離陸した。機体は荒川上空を旋回し、しばらく空中で静止したのち再び戻り、DroneNestのポート上にぴたりと着陸した。着陸時には様子を見守っていた見学者から拍手があがった。

なおDroneTribuneは2022年6月に、DroneNestが北関東のエネルギー関連施設で、夜間警備のために遠隔での出動指示に対応し、ドローンが離陸し巡回の役割を果たす様子を取材している。このエネルギー関連施設は運営会社の私有地のため、一般の立ち入りはないことが前提だ。しかしこの実験のときには、侵入者をドローンで警備し、ドローンの搭載したスピーカーから警告音を出しミッションが課された。実験ではドローンは、遠隔操作により飛行し、ライトを照らしながら夜間に侵入者を検知し、警告を発生させるなど、与えられたミッションをすべてこなす様子を目の当たりにした。

ソラボットの奥村英樹代表は、「ドローンを運航させる現場がふだんの居場所から離れていることが頻繁に起こります、また全国に拠点を構えている事業者の場合、拠点ごとに操縦者を育成するのが大変だという話もよく伺います。事業者の地方事業所の夜間警備などの場合、その時間の外出そのものが少なからずリスクです。ドローンにまかせられるとそのようなリスクが軽減できます。ルンバのように自動充電してくれるシステムがあっていいという話も伺います。ソラボットはこうした、飛行現場まで行かずにすむ方法をDroneNestの活用で模索しています。最終的には日本全国のドローンを1か所の拠点で運航管理できる態勢を見据えています」と話した。

 

DroneNestのフードが開き待機しているドローンが離陸する。また着陸したあとにはフードが閉じ電源を切って充電態勢に入る。

運航担当者はドローンの待機する場所から管理

 

DroneNestに格納されたDJI MAVIC2Pro。

DroneNestに対応させるためのカスタマイズが施されている。近日中にMATRICE300に対応するDroneNestも投入予定

 

■実証の様子の動画

 

 

【参考】

実施後の記事
https://dronetribune.jp/articles/23391/

実施前のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000111543.html

この記事を書いた人

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奥村英樹

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大手電機・エネルギー企業での技術営業を経て、ドローン業界へ。営業・開発PM・操縦士など幅広い実務経験を活かし、2022年にSORABOTを設立。ドローンの社内導入支援や運用課題の解決を行う「ドローンアドバイザー」として活動中。ドローンをもっと簡単・便利に使える社会を目指しています。

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